紅網時刻新聞記者 王楊 張必聞 長沙報道
臨床医の“最強アシスタント”、学科リーダーの“魂のメンター”、事務スタッフの“残業ゼロ請負人”…！？最近、スマート化の波が医療分野を席巻し、湖南省の多くの病院が先駆けて国産AI大モデルDeepSeekを導入。ローカル環境に実装することで、臨床、研究、事務管理など、さまざまなシーンでの活用を始めています。
しかし、スマート医療の新たな潮流が巻き起こるにつれ、ネット上では賛否両論の声が上がっています。
あるネットユーザーは「病院に行って医者に診てもらうのに、医者がDeepSeekを使うなら、医者に診てもらう意味ある？直接DeepSeekに聞けばいいじゃん！」と疑問を投げかけ、別のユーザーは「DeepSeekの結果を持って医者に相談したら、医者もDeepSeekで返事してきたんだけど！？」と皮肉っぽくコメント。さらに、診断結果の信頼性について「DeepSeekと二甲病院の医者、どっちを信じればいいの？」と不安を訴える患者もいます。
ネットユーザーのコメント
紅網時刻新聞記者は、湖南省でDeepSeekのローカル実装をいち早く実現した3つの病院、湖南省人民病院、湖南省胸科医院（湖南省結核病予防治療所）、郴州市第一人民医院を訪問し、湖南省におけるスマート医療変革の現状を詳しく取材しました。
OAシステムから研究分野まで 医療従事者の業務効率が大幅アップ！
2月16日、湖南省人民病院はDeepSeekのローカル実装を完了。病院のOA（オフィスオートメーション）システムと高度に連携することで、行政承認、シフト管理、文書の回覧など、日常業務のスマート化を実現しました。医療従事者は、AIが生成した文書の補助、スマートなQ&A、データ分析などのサービスを利用することで、業務効率を向上させることができます。
湖南省人民病院の医療従事者がローカル実装されたDeepSeekを使用
湖南省人民病院情報センター副主任の盧熙氏によると、2月21日までに、DeepSeekプラットフォームは累計427万件のリクエストを処理し、1日あたりのアクティブユーザー（医療従事者）は1237人に達しました。
アクセス内容を見ると、医師たちは結果指標や薬の服用方法に関するガイドラインについて質問することが多く、特に検査・診断レポートの解釈における利用頻度が最も高く、医師によるAI支援解釈の割合は63%に達しました。この革新的な活用により、レポートの解釈時間が大幅に短縮されました。
特に注目すべきは、DeepSeekが研究分野でも医療従事者から高く評価されていることです。
盧熙氏は例として、DeepSeekを通じて、医療従事者は最先端の研究成果を迅速に入手し、研究調査時間を大幅に短縮できると述べました。医学文献を読む際、DeepSeekは高度な自然言語処理能力により、核心的な視点、実験データ、結論を正確に抽出。医療従事者が重要な情報を効率的に把握し、研究イノベーションに新たな活力を与えるのに役立っています。
一方、郴州市第一人民医院もDeepSeekの力を借りて、会議の準備、文献検索、研究テーマの選定などのプロセスを全面的に最適化。病院のスマートオフィスレベルは「爆速モード」に突入しました。
病院事務スタッフは「もう徹夜で残業する必要がなくなった！資料作成者の髪の毛は守られた！」と冗談めかして語ります。以前は、会議の準備に何度も書式を修正したり、内容を調整したりする必要がありましたが、今ではDeepSeekに「水曜日の午後」「情報化品質管理センターの作業計画会議」などのキーワードを入力するだけで、論理的で分かりやすく、時間配分も適切な文書がすぐに生成され、議題の最適化に関する提案も親切に添付されるため、会議通知の作成速度が大幅に向上しました。
郴州市第一人民医院副院長の劉俊氏は「今回のアップグレードの目的は、行政をよりスマートに、医療従事者をより集中させ、研究をより効率的にすることです」と語りました。
「D医師」が手術評価に参加 精密医療が新たな段階へ
スマート医療の波に乗って、DeepSeekはその強力な全シーンスマート化能力で、病院のあらゆる業務に変革をもたらしています。OAシステムとの高度な連携に加え、臨床意思決定支援分野でのDeepSeekの活用も、大きな可能性を示しています。
2月13日、湖南省胸科医院はDeepSeekが開発した「医学研究アシスタント」スマートエージェントを導入。初の応用として、胸部外科における無管化手術の臨床パス最適化に正確な提案を行いました。この革新的な取り組みは、「D医師」が手術評価と臨床パス最適化の重要な段階に正式に参加したことを意味します。
胸部外科における無管化手術の臨床パスとは、エビデンスに基づく医療と診療ガイドラインに基づいて確立された、標準化された診療・看護モデルと手順のことです。
石自力がスマートエージェントを使用
湖南省胸科医院外科主任の石自力氏によると、「医学研究アシスタント」を使用する前に、胸部外科における無管化手術の臨床パス案を3回修正しましたが、まだ完璧ではなく、さらなる最適化の方向性が不足していると感じていました。
「医学研究アシスタント」スマートエージェントの導入は、この状況を完全に変えました。石自力氏は、既存の臨床パス案をスマートエージェントにアップロードし、DeepSeek大モデルの豊富な知識ベース検索と計算能力を活用。スマートエージェントはわずか10秒で文書の内容について専門的な最適化案と提案を行い、石自力氏は「まるで宿題を終えた後、指導教官が添削してくれるようなもので、臨床パスがより正確になる」と絶賛しました。
無管化手術は、胸部外科における「低侵襲」の理念を追求した究極の形です。この手術方法は、患者への手術によるダメージを軽減するだけでなく、手術の安全性と有効性も向上させます。しかし、無管化手術はすべての患者に適しているわけではありません。医師は、患者の具体的な状況と手術のニーズに応じて、無管化手術が適しているかどうかを評価する必要があります。
「幸いなことに、現在、『医学研究アシスタント』スマートエージェントはすでに胸部外科における無管化手術の評価段階に参加しています」と湖南省胸科医院党委員会書記の王梟冶氏は述べ、 「『医学研究アシスタント』スマートエージェントの活用が進むにつれて、これまで挑戦することを躊躇していた手術にも自信を持って臨むことができるようになります。その結果、より多くの患者が無管化手術の恩恵を受ける機会を得るでしょう。」
AIと医療従事者の共存 未来は明るい！代替関係ではない
DeepSeekのローカル実装は、技術的なアップグレードであるだけでなく、医療サービスモデルの根本的な変革でもあります。湖南省の多くの医療機関の積極的な取り組みにより、DeepSeekは将来の使用シーンにおいて大きな可能性を徐々に示し始めています。
王梟冶氏は、湖南省胸科医院はDeepSeekを耐性治療の分野と深く連携させ、正確な評価、データ統合、リスク予測、個別化された定量的意思決定支援においてより大きな役割を果たすことを模索していると述べました。
劉俊氏は、郴州市第一人民医院はDeepSeekの応用を予約、レポート解釈、健康管理など、より多くの分野に拡大し、「診察がデリバリーのようにスマートになる」便利な受診体験を創出することを目指していることを明らかにしました。
湖南省人民医院副院長の成偉氏は、DeepSeekは電子カルテシステム、HISシステムなどの主要業務プラットフォームと深く統合され、臨床意思決定支援、カルテ品質管理、画像分析など、多くの重要な段階で強力なスマート化支援を提供すると展望しました。
しかし、DeepSeekが医療分野で広く活用されるにつれて、「D医師」が本物の医師に取って代わるのかという問題も、ますます世間の関心を集めています。
SNSでの議論
あるネットユーザーは「DeepSeekに診察してもらったら、主任医師と同じ診断結果が出た。もう病院に行く必要ないんじゃない？」と疑問を呈しました。これに対し、多くの医療従事者は明確な答えを出しました。AIは医師に取って代わるものではなく、医師の強力なアシスタントになることを目指しているのです。
湖南省胸科医院副院長の何青氏が述べたように、医学は単なる「技術」ではなく、人間的な温かさに満ち溢れています。医師は患者の病状を理解し、どのように治療するかを検討するだけでなく、患者の不安や状況を理解し、患者自身のニーズに合った知識とサポートを提供する必要があります。そのため、短期間で人工知能が医師に完全に取って代わって直接診察することはできません。あくまで補助的な診断と治療の提案を行うだけで、最終的に主導的な役割を果たすのは医療従事者です。
盧熙氏は情報技術の面から回答をしました。AIシステムの正確性と信頼性は、大量の高品質なトレーニングデータ、アルゴリズムの最適化度合い、臨床検証に依存します。さらに、AIは複雑な症例を処理したり、患者個々の違いを考慮して診断したりする面で、まだ限界があります。医師の経験と直感、そして患者個々の違いへの配慮は、治療の意思決定において重要な役割を果たします。
特筆すべきは、2月12日、湖南省医療保険局が「基本医療保険指定小売薬局の管理をさらに強化することに関する通知」を発行し、インターネット病院から流れてくる電子処方箋について、処方箋を発行した医師が湖南省で認証された医療保険医師であるかどうかを重点的に検証する必要があること、処方箋は省レベルの医療保険電子処方箋センターを通じて流す必要があること、医師が処方箋を発行する際は患者または患者の家族と効果的かつ十分なコミュニケーションと問診を行う必要があること、人工知能が生成した処方箋の受け取りを厳禁することなどを明確に規定したことです。
湖南省の病院におけるDeepSeekローカル実装の実践的な取り組みは、全国の医療業界に貴重な経験と教訓を提供するだけでなく、AI技術が医療分野で幅広い応用できる可能性を十分に示しています。
このAIと医療従事者の共存の中で、スマート医療の領域は拡大し続け、最終的にはすべての患者に恩恵をもたらし、医療サービスの新たな章を開くでしょう。
