考古学者にとって、盗掘ほど許せないことはありません。特に、西夏王陵のように歴史的に重要な場所が荒らされているのを発見した時の怒りは想像を絶するでしょう。
今回ご紹介するのは、そんな盗掘被害にあった西夏王陵での、信じられないような発見のお話です。
西夏は、宋や遼の時代に存在した国家で、独自の文化を持っていました。その王陵は、現在の寧夏回族自治区銀川市に位置し、西夏時代の貴重な遺跡として知られています。
しかし、この王陵は盗掘の被害にあっており、考古学者たちは内部の荒れ果てた様子に愕然としました。墓室は空っぽに近く、盗掘者によって徹底的に略奪されたことが明らかだったのです。
1970年代、寧夏博物館の考古チームが王陵の調査を行いました。当初は被害状況の確認が目的でしたが、王陵に入るとすぐに盗掘の痕跡が見つかりました。深さ2メートルの盗掘孔は、考古学者たちを落胆させました。
盗掘された墓室は、予想通り略奪された後でした。しかし、絶望的な状況の中、ある若い考古学者が怒りのあまり木製の扉を蹴ったところ、なんと隠された小さな墓室が現れたのです!
この隠された墓室からは、大量の貴重な文物が出土しました。中でも最も重要な発見は、「鎏金銅牛(りゅうきんどうぎゅう)」と呼ばれる金色の牛の像です。これは西夏時代の芸術品として非常に価値が高く、現在では寧夏博物館の至宝となっています。
盗掘によって失われたものも多いですが、この偶然の発見は、西夏王陵の価値を改めて認識させ、考古学界に大きな喜びをもたらしました。まさに、災い転じて福となるとはこのことでしょう。