「飛仙を挟んで遨遊し、明月を抱いて長終せん。驟かに得べからざるを知り、遺響を悲風に託す。」
人類は古来より、空を飛ぶことを夢見てきました。明の時代には、中国の士大夫である万戸が、47個の自作ロケットで空へ飛び立とうと試みました。しかし、残念ながらロケットは高空で爆発し、万戸も命を落としました。それでも、彼の空への挑戦は、私たちの記憶に深く刻まれています。
屈原は言いました。「路は漫々として其れ修遠なり、吾れ将に上下して求索せん。」この言葉は理想の探求にも当てはまりますが、人類が空への飽くなき探求に費やしてきた努力にも通じるでしょう。20世紀初頭、アメリカのライト兄弟が飛行機を発明し、人類の空を飛ぶ夢は現実のものとなりました。
科学技術の発展に伴い、飛行機の種類も多様化してきました。その中でも、軍事作戦専用の「戦闘機」という特殊な飛行機が誕生しました。高速で移動でき、自由自在に空を駆け巡る戦闘機は、敵軍の上空から致命的な一撃を与えることができる軍事兵器へと進化しました。第二次世界大戦では、戦闘機が重要な役割を果たし、多くの国がその重要性を認識し、空中戦への備えを始めました。戦闘機を使いこなす上で最も重要なのは、パイロットの育成です。多くの国がパイロットの育成に力を注いでいます。
しかし、成功への道は決して平坦ではありません。空は陸地とは異なり、初期の戦闘機の品質には問題もありました。そのため、パイロットが戦闘機の操縦訓練中に事故に遭うこともありました。ある飛行訓練中、ソ連のパイロットが戦闘機の故障により緊急脱出し、その結果、20トンもの戦闘機が小学校に墜落し、100人近い児童が死亡するという痛ましい事故が発生しました。
一瞬のパニックが、大惨事を招く
1985年、ソ連航空部隊はいつものように訓練を行っていました。パイロットのヨセフ・スコエフは、突然異変を感じました。彼の乗る戦闘機に深刻な故障が発生し、エンジンが停止してしまったのです。戦闘機は高速で飛行しており、状況は非常に危険でした。スコエフは一瞬パニックに陥り、すぐに緊急脱出し、安全な場所に降下しました。パイロットの訓練マニュアルには、飛行中にエンジンが停止した場合、何度も再起動を試み、それでも効果がない場合にのみ緊急脱出することが定められています。
緊急脱出には、人通りの多い場所を避けて、開けた場所に機体を向けなければならないという規定もあります。戦闘機の墜落によって死傷者が出た場合、パイロットは責任を問われます。しかし、スコエフは緊急事態の中で、マニュアルの規定を一切守りませんでした。彼の一瞬のパニックが、100人近い命を奪うことになるとは、想像もしていなかったでしょう。
罪なき命が、一瞬にして奪われる
スコエフが飛行していた場所の下には、小学校がありました。事故当時、学校は授業中で、墜落した戦闘機が学校に直撃したため、100人近い小学生と2人の教師が犠牲になりました。人々の怒りは爆発し、特に、事故の元凶であるスコエフが無傷だったことに、怒りを募らせました。
罪を犯した者は、当然の報いを受ける
スコエフは逮捕されました。事故調査委員会が機体の残骸を調査した結果、スコエフは戦闘機の故障に遭遇した際、パイロットの訓練マニュアルに記載されている指示に従わず、すぐに緊急脱出したことが判明しました。そのため、彼は軍事法廷に送られ、厳罰に処されました。この事件は各国で大きな注目を集め、各国はそれぞれ対策を講じることになりました。
結び
このパイロットの事故から、パイロットの責任感を育むことがいかに重要であるかがわかります。スコエフが少しでも畏敬の念を持っていれば、このような過ちを犯すことはなかったでしょう。いかなる緊急事態においても、まず墜落が罪のない人々を傷つけないように行動したはずです。パイロットの心理的な素質を育むことの重要性も認識する必要があります。心身ともに優れたパイロットだけが、真に国の空を守ることができるのです。
参考文献：
『赤壁賦』
『離騒』
