この世界に本当に鬼神が存在するのか、誰にも断言できません。古代からの封建的な遺物だという人もいますが、現代の科学技術ではまだ解明が難しい問題です。世界各国には数々の神話があり、多くの読者を魅了しています。今回は、そんな神話の一つ『封神榜』を紐解いていきましょう。
『封神榜』は、殷王朝から西周王朝への交代期を舞台にした物語で、奇想天外なエピソードが満載です。何度もドラマ化され、姜子牙のイメージは多くの人に浸透しています。地方の農村部では、家を建てる際に姜子牙の名前を書いた紙を棟木に貼る習慣も残っています。
姜子牙は元々、師である元始天尊のもとで修行をしていましたが、商の紂王が女媧娘娘を愚弄し、宮殿で淫らな詩を詠んだことで、女媧娘娘の怒りを買い、軒轅三妖が宮殿を荒らすことになります。そして姜子牙は、元始天尊から新しい君主を助け、封神大典を執り行うように命じられます。
紂王の後を継ぐ新しい君主が周の文王であり、姜子牙は周王朝の建国を助けるために下界に降りてきたのです。しかし、文王が姜子牙を迎え入れるまでには、かなりの苦労がありました。神である姜子牙には独自のルールがあり、文王に自分を背負わせるように言いました。文王は文句も言わず、姜子牙を背負って800歩以上歩きました。姜子牙は、文王が自分を背負った歩数だけ、周王朝が続くと言いました。
ここで疑問に思う人もいるでしょう。なぜ文王は、このチャンスを活かして、もっと姜子牙を背負って歩かなかったのでしょうか？そうすれば、王朝はもっと長く続いたはずです。
実は、文王はもっと歩きたかったのですが、もう限界だったのです。文王は当時すでに高齢であり、諸侯として贅沢な暮らしをしていました。普段から人を背負って歩くことなどありえません。山道を姜子牙を背負って歩くのは大変なことで、800歩以上歩けただけでも精一杯だったのです。
また、姜子牙も文王にもっと歩かせることは許さなかったでしょう。周王朝が続く年数は定められており、姜子牙はすでに計算済みでした。文王はただの人間であり、姜子牙の計算から逃れることはできません。文王がどう思おうと、すべては最初から決まっていたのです。
