名君・唐太宗と諫臣・魏徴。理想的な君臣関係として知られる二人ですが、魏徴の死後、その関係に衝撃的な展開が！
なんと、魏徴の死後わずか5ヶ月で、唐太宗は彼の墓碑を破壊し、息子との結婚の約束まで破棄してしまったのです。
「魏徴を失い、朕は鏡を失った」という言葉はどこへやら…。李世民はなぜ、これほどまでに態度を変えてしまったのでしょうか？まるで「プラスチック・シスターズ」のような展開に、一体何があったのか？その真相に迫ります！
李承乾の反乱と信頼の危機
皇帝に即位して間もなく、李世民は8歳の長男・李承乾を太子に立て、手厚く教育しました。しかし、9年後、李承乾はまるで別人のように変わってしまったのです。
その理由は、弟・李泰の太子位への野心、李世民からの過度な期待、そして青春期の葛藤でした。重圧に耐えきれず、李承乾は道を踏み外し、反乱を企てるようになります。
李世民は政治のプロ。李承乾の企みを見抜き、反乱は未遂に終わりました。しかし、この反乱グループの中に、魏徴がかつて強く推薦した侯君集と杜正倫が含まれていたことが、李世民の疑念を招きます。
魏徴は、表向きは諫臣の顔を見せながら、裏では党派を形成し、朝政を壟断していたのではないか？李世民は、魏徴への信頼を揺るがし始めます。
魏徴はすでに亡く、真相を確かめる術はありません。怒りに駆られた李世民は、魏徴の墓碑を破壊し、息子との結婚の約束を破棄することで、その感情を爆発させたのです。
647年は、李世民にとって災難続きの年でした。魏徴の死、太子・李承乾と斉王・李佑の反乱、そして後継者争い。心身ともに疲弊していた李世民は、魏徴に八つ当たりしたのかもしれません。生前、魏徴には散々口うるさく諫められ、うんざりしていたこともあったでしょう。
愛憎入り混じる君臣関係
李世民が魏徴を重用したのは、「忠義」の旗印を掲げ、太子党に寛大さを示すためだったという説があります。一方、魏徴もまた、自身の政治的抱負を実現するために、明君を必要としていました。
二人の関係は、17年間おおむね良好でしたが、喧嘩も絶えませんでした。魏徴はまるで口うるさい「妃」のように、事あるごとに李世民に諫言し、李世民も「この田舎者を殺してやりたい」と思ったことでしょう。
魏徴は、政治だけでなく、李世民の私生活にも口出ししました。例えば、李世民が娘・長楽公主に、妹・永嘉公主の倍の持参金を与えようとしたとき、魏徴は「永嘉公主は長公主であり、長幼の序を乱すことは礼に反する」と反対し、李世民を黙らせたのです。
また、李世民が鷹狩りを楽しんでいると、魏徴が突然現れました。口うるさい魏徴を恐れた李世民は、鷹を懐に隠しましたが、魏徴との長話の末、鷹は窒息死してしまいました。
魏徴の諫言が多すぎて、李世民は条件反射のようになっていました。南山へ遊びに行こうと準備しても、魏徴のことを考えると、結局行くのをやめてしまったのです。
李世民にとって、魏徴との関係は、愛憎入り混じる、まるで夫婦のようなものでした。喧嘩するほど仲が良い、というように、お互いを理解し合っていたのです。
だからこそ、李世民は、困難に直面したとき、魏徴に八つ当たりしたのです。まるで夫婦喧嘩のように、すぐに仲直りできると信じていたのでしょう。
そして、その通りになりました。魏徴の死後2年、李世民が高句麗遠征に失敗し、人生最大の挫折を味わったとき、「魏徴が生きていれば、こんなことにはならなかっただろう」と嘆き、再び魏徴の墓碑を建て直したのです。
二人は同床異夢の政治的盟友だったのか？
玄武門の変当時、魏徴は太子府にいました。それ以前にも、魏徴は元宝蔵、李密など、数々の主君に仕えていました。まるで「三姓家奴」のようだと批判する人もいます。
魏徴と李世民の関係は、苦楽を共にした房玄齢や杜如晦とは異なり、感情的な絆は薄かったという説があります。さらに、魏徴はかつて、李建成に李世民を殺害するよう進言したこともありました。
李世民が魏徴の墓碑だけを破壊したのは、彼らの間に大きな信頼の欠如があったことを示しているのかもしれません。彼らの関係は、大唐の命運を左右するような試練には耐えられなかったのです。
それでは、二人は同床異夢の政治的盟友だったのでしょうか？それとも、劉備、関羽、張飛のような固い絆で結ばれた兄弟のような関係だったのでしょうか？李世民の言葉が、その真相を物語っています。
「銅を鏡とすれば、衣冠を正すことができる。古を鏡とすれば、興亡を知ることができる。人を鏡とすれば、得失を明らかにすることができる。」
彼らは確かに強固な政治的盟友でしたが、決して同床異夢ではありませんでした。ただ、君臣としての感情が、それほど深くなかっただけなのです。
時が流れ、歴史の重みを乗り越え、今もなお私たちの心に生き続けるこの君臣の物語は、彼らの関係が時間という試練に耐えうるものであったことを証明しています。まるで歴史のように、紆余曲折を経ながら、数々の物語を紡いできたのです。
