諸葛亮の物語は数多く語られていますが、後主・劉禅との関係は常に歴史家の注目を集めてきました。劉備は臨終の際、我が子を諸葛亮に託しましたが、これは古代の皇帝が最も嫌う行為の一つでした。皇帝は、自分の権力を制限する可能性のある大臣を排除しようとするからです。しかし、諸葛亮と劉禅の関係はどうだったのでしょうか？
234年、長年の遠征で疲弊した諸葛亮は、ついに陣中で亡くなります。彼は臨終の前に、劉禅に手紙を書き、自身の財産を列挙するとともに、劉家の領土を守るように諭しました。しかし、当時の劉禅は疑念を抱いていました。劉禅が即位した時、彼はまだ十代であり、国家を統治する経験もありませんでした。そのため、当時の国政は全て諸葛亮が管理していました。劉禅は当初、諸葛亮の指示に従順でしたが、成長するにつれて権力への渇望が強くなり、彼に屈することを良しとしなくなりました。
ここで、劉禅の側近にいた宦官・黄皓に触れる必要があります。彼は野心家であり、主君である劉禅の地位が最高ではないため、古代の宦官のように朝廷を牛耳り、権勢を振るいたいと考えていました。諸葛亮の死後、彼は劉禅に諸葛亮の悪口を吹き込み、劉禅に彼を攻撃させようとしました。諸葛亮が自身の財産を列挙した際、彼は劉禅に「諸葛亮は生涯丞相を務め、皇帝から何度も褒美を受けているのに、財産がこれっぽっちのはずがない」と進言しました。劉禅は疑心暗鬼になり、讒言を信じて調査を命じました。
しかし、調査の結果は劉禅自身を窮地に陥れました。諸葛亮の家からは、彼の申告通り、財宝は何も見つからなかったのです。黄皓は落胆し、劉禅に事実を報告しました。事実を知った劉禅は深く苦しみ、怒って人を罵りました。なぜなら、彼は自分自身を責めていたからです。彼は諸葛亮を誤解したことを悔やみ、「こんなに素晴らしい丞相を、なぜ信じられなかったのか」と嘆いたのです。
その後、劉禅は諸葛亮の遺言に従い、彼を定軍山に埋葬し、二度と丞相を立てませんでした。彼は良心の呵責から、自分の娘を諸葛亮の息子に嫁がせ、手厚く世話をし、諸葛亮への償いとしたのです。
