ビジネスの寿命はどれくらい?企業の歴史を振り返ると、100年以上続く企業は老舗と言えるでしょう。しかし、どの業界も必ず衰退期があり、多くの企業がその過程で倒産していきます。後継者の育成や経営の失敗も、企業を破綻させる原因となります。
そのため、数百年の歴史を持つ企業はごくわずかです。中国を例にとると、企業の平均寿命は7〜8年、中小企業は2.9年と言われています。毎年100万社近くが倒産しているのです。
現在、中国で最も古い企業は、1538年創業の「六必居」。483年の歴史があります。次いで、1663年創業の刃物店「張小泉」、陳李済、広州同仁堂薬業、王老吉と続きます。しかし、150年以上の歴史を持つ老舗は、わずか5社しか残っていません。
しかし、世界には1440年も続く企業があるのをご存知ですか?それが、世界最長寿企業である日本の「金剛組」です。
金剛組は、仏教が日本に伝来した飛鳥時代の578年に創業しました。聖徳太子が百済から招いた柳重光が、四天王寺建立のために設立したのが始まりです。
当初、金剛組は企業というより職人集団でした。その後、天災や戦乱で四天王寺が7度も焼失する中、金剛組は代々受け継がれた技術で再建・改修を行い、伽藍を整備していきました。そして、徐々に企業としての形を整えていったのです。
金剛組が長きにわたり存続できたのは、寺社建築というニッチな分野に特化したことが大きな理由です。しかし、それ以上に重要なのは、金剛組自身の競争力です。例えば、建築技術においては、釘を一本も使わずに木材だけで屋根を支える伝統工法を受け継いでいます。これにより、修復作業が容易になります。現在も、大梁、柱、彫刻、楔など、全ての工程を手作業で行っています。
1440年の歴史の中で、金剛組も幾度かの危機を経験しました。明治維新の廃仏毀釈では、多くの寺院が破壊され、仕事が激減しましたが、乗り越えました。
また、37代目の後継者が寺社建築に興味を示さなかった際には、37代目の妻が「堂主」に就任し、金剛組の存続を支えました。
第二次世界大戦中も、寺院建設が停滞し、経営危機に陥りました。しかし、軍事用木箱の製造に投資することで危機を脱しました。
その後も、金融危機など幾多の困難に見舞われましたが、金剛組は決して倒れることはありませんでした。まさに、強靭な企業と言えるでしょう。