中国史に名を残す玄学者・天文学者、そして道士、袁天罡。彼は「風鑑」という、風の音で吉凶を占う能力に長けていたと言われています。その的中率は驚異的で、人々は彼を畏れ敬いました。唐の太宗は袁天罡の才能を高く評価し、宮廷に招き入れ、知恵袋として重用したのです。
袁天罡は、唐王朝の未来を予言するために、同じく五行八卦や天象に精通した李淳風と共に『推背図』という奇書を作り上げました。天機は本来、漏洩すべきものではありませんが、皇帝の命令には逆らえません。『推背図』は、易学、天文、詩詞、謎かけ、絵画を融合させたもので、60枚の画像とそれに添えられた律詩によって、唐王朝以降に起こる出来事を予言していると言われています。
中国史上、「奇書」と呼ばれるものは数少ないですが、その中でも『推背図』は、2031年までの未来を予言しているとされる「千古奇書」として特別な存在です。この書物には、李世民が築いた唐の時代に「女帝」が出現すること（武則天のこと）、安史の乱で楊貴妃が命を落とすことなど、驚くほど正確な予言が含まれているとされています。さらに、唐王朝以降の王朝交代や、中華民国の成立までも予言しているというから驚きです！
国家の滅亡を予言するような書物は不吉であるとして、太宗は『推背図』を禁書としました。しかし、その価値は隠しきれるものではなく、歴史の発展と共に、現在では多くの翻刻本が出回っています。その真偽は定かではありませんが、国家は混乱を避けるため、公式なバージョンを公開しました。
『推背図』の存在は、中国文化の奥深さを示すものであり、『山海経』と並ぶ価値を持つ、歴史研究上重要な古籍と言えるでしょう。2031年、一体何が起こるのでしょうか？
